西日本新聞 2008126日(土曜日)
舞台 劇評

京楽座「アウトロー・WE 望郷編」
句集の余白としてのドラマ

十三本の電信柱で囲んだ簡素な舞台に、セミが鳴き、玉音放送が鳴り響く。
一九四五年八月十五日。
泣き叫びぼうぜんとする日本人。
そんな場面で始まる音楽劇「アウトロー・WE 望郷編」(1119日・福岡市のももちパレス)は、真っ正面から「在日」を問うた舞台だった。


原作は福岡市在住の俳人・姜h東。
在日韓国人の苦悩をつづった自伝的句集「身世打鈴」を、福岡県出身の俳優で劇団主宰の中西和久が舞台化した。


スリ、屋台のラーメン店、会社経営と主人公が人生経験を重ね、韓国人と日本人の間で葛藤するドラマはスピード感をもって進む。
「十七字に凝縮された世界から、個の深みを考えたい」と中西は語っていたが、俳句は場面の要所で垂れ幕として出てくるのみ。
ドラマは句集の余白の部分なのだろう。
ドラマと句の配分は、一nに一句だけを載せたこの句集と相似する。


語り手の「パギやん」(趙博)が味を出していた。
朝鮮半島の伝統歌唱「パンソリ」の手法で語りの合間に太鼓を打ち、歌い、役者につっこみも入れる。
軽妙な関西弁で観客を引きつけた。

(平原奈央子)